伊勢物語の「芥川」の解説と問題を無料で閲覧・ダウンロードすることができます!
伊勢物語とは
『伊勢物語』は平安時代である900年前後に書かれたとされています。(諸説あり)
同じ時期に書かれた作品は『竹取物語』や『古今和歌集』などがあります。
ジャンルは「歌物語」になります。歌物語の中では最古の作品で、同じ歌物語である『大和物語』など後世にできた作品に大きな影響を与えました。
作者は明らかになっていないものの、六歌仙の1人である「在原業平」という実在した歌人がモデルになっているとされています。
内容は在原業平だと思われる主人公の「男」が元服(成人すること)し、恋愛をして、亡くなるまでを書いた、「一代記」の形をとっています。全125段の小話でできており、和歌が含まれているのが特徴です。
「芥川」の大まかな内容
「芥川」は『伊勢物語』の第6帖に収められている物語です。
大まかな内容としては「主人公である男がある女性と駆け落ちする話です。」
ある男(在原業平)が長年求婚し続けたが、身分の差から結婚できそうになかった女性(藤原高子だとされる)を盗み出て、一緒に逃げ出します。
途中、雷がひどく鳴ったため、近くにあった倉で休むことにしました。
しかし、倉の中で女性が鬼に食べられてしまい、女性が鬼に食べられてしまったことに気づいた男は、自分も消えてしまえばよかったと悲しみました。
実際は、「鬼」は女の兄弟で、妹がいなくなったことに気づき、連れ戻しにきた。というのがこの話のオチになります。
原文
昔、男ありけり。女の、得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。
芥川といふ河を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ。」
となむ男に問ひける。行く先多く、夜も更けにければ、鬼ある所とも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥に押し入れて、男、弓、やなぐひを負ひて戸口にをり、はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、鬼はや一口に喰ひてけり。「あなや。」と言ひけれど、神鳴る騒ぎにえ聞かざりけり。
やうやう夜も明けゆくに、見れば、率て来し女もなし。足ずりをして泣けどもかひなし。
白玉か何ぞと人の問ひし時 露と答へて消えなましものを
これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐ給へりけるを、かたちのいとめでたくおはしければ、盗みて負ひて出でたりけるを、御兄堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ下臈にて内裏へ参り給ふに、いみじう泣く人あるを聞きつけて、とどめてとり返し給うてけり。それをかく鬼とは言ふなりけり。まだいと若うて、后のただにおはしける時とや。
現代語訳
昔、男がいた。女で、手に入れることができそうにない女を、何年も通い(求婚し)続けて、やっとのことで盗み出して、とても暗いところに来た。
芥川という川を連れて行ったとき、草の上に置いてあった露を、「これは何ですか。」と男に尋ねた。行く先はまだ多く、夜も更けてしまったので、鬼がいる場所とも知らず、雷まで非常に激しく鳴り、雨もひどく降ったので、荒れ果てた蔵に、女を奥に押し入れて、男は弓と矢を持って戸口に座り、早く夜も明けてほしいと思いながら座っていたところ、鬼はたちまち女を一口で食べてしまった。「ああ。」と言ったけれども、雷が鳴る騒ぎで聞こえなかった。
やがて夜も明けていくと、見ると、連れてきた女もいない。地団駄を踏んで泣いたけれども無駄だった。
白玉か何かと人が問うたとき 露だと答えて消えてしまいたかった
これは、二条の后が、いとこの女御のもとに仕えるようにしておいでになったが、顔かたちがとても美しかったので、盗んで連れて出たのを、彼女の兄である堀河の大臣、太郎国経の大納言がまだ下級官吏で宮中に参内していたとき、非常に泣く人がいるのを聞いて、止めて取り返した。これを鬼だと言うのであった。まだとても若くて、后がただの女御だったときのことだ。
解説(ポイントのみ)
①昔、男ありけり。女の、得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。
「男」は在原業平だと考えられている「女の得うまじかりけるを、」は「え~打消表現」で不可能(できない)を表す。今回は「まじかり」が不可能の助動詞。
②芥川といふ河を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ。」となむ男に問ひける。
「ば」は已然形接続になるため順接確定条件。「たり」は連用形接続になるため「完了・存続」になる。「なむ」は強意を表す係助詞で、結びの語は「ける」。
③行く先多く、夜も更けにければ、鬼ある所とも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、
「いみじう」は「いみじ」が音便化したもの。「いたう」は「いたし」が音便化したもの。
⑤女をば奥に押し入れて、男、弓、やなぐひを負ひて戸口にをり、はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、
「をば」は「を」の前にある「女」を強調する役割がある。「なむ」は願望の終助詞。
⑥鬼はや一口に喰ひてけり。「あなや。」と言ひけれど、神鳴る騒ぎにえ聞かざりけり。
「神」は「雷」を意味する。「え」+打消(ざり)で不可能を表す。
⑦やうやう夜も明けゆくに、見れば、率て来し女もなし。足ずりをして泣けどもかひなし。
已然形+「ば」で順接確定条件になる。「来」はカ行変格活用未然形で、「こ」と読む。
⑧白玉か何ぞと人の問ひし時 露と答へて消えなましものを
「白玉」は露を意味する。「あれは白玉か」と聞かれた際に、「あれは露です」と答えて一緒に消えてしまえばよかったのに、と悲しみをうたった句。「まし」は反実仮想の助動詞で、事実に反することを想定している。「消え」は「露」の「縁語」。
⑨これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐ給へりけるを、かたちのいとめでたくおはしければ、盗みて負ひて出でたりけるを、
已然形+「ば」で順接確定条件になる。
⑩御兄堀河の大臣、太郎国経の大納言、まだ下臈にて内裏へ参り給ふに、いみじう泣く人あるを聞きつけて、とどめてとり返し給うてけり。
「に」は体言に接続しているため「断定」と判断することができる。「下臈」は「げらふ」と読み、地位の低い僧の事を意味する。
⑪それをかく鬼とは言ふなりけり。まだいと若うて、后のただにおはしける時とや。
練習問題(PDF)
問題は
①動詞・助動詞の確認問題(品詞分解)
②読解問題
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伊勢物語「芥川」 読解問題②
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