【言語文化・古典探究】宇治拾遺物語 〜児のそら寝〜 解説と練習問題(PDFダウンロード可能)

古典読解

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宇治拾遺物語とは

「宇治拾遺物語」は鎌倉時代初期の1220年ごろに書かれた説話集です。作者不詳。

197の説話からなり、上下の2巻または、15巻に納められている。

序文によると、平安時代に成立した『宇治大納言物語』に入らなかった説話(「宇治に遺れるを拾ふ」と書かれている)とそれ以降に書かれた説話をまとめたものだとされています。

内容は、仏教説話系と世俗説話系の2つに分かれ、身分を問わず、様々な人物の視点で書かれています。他にも中国、インドなどの説話も収録されています。

「わらしべ長者」など現在でも有名な話のモデルになったり、芥川龍之介の「鼻」は宇治拾遺物語の「鼻⻑き僧の事」から着想を得て書いたとされていたりと様々なものに影響を与えています。

鎌倉時代に書かれた説話は「古今著聞集」や「沙石集」などがあります。

「児のそら寝」の大まかな内容

 比叡山の寺の夜、寺に仕えている少年が寝ようとしたところで、僧たちがぼたもちを作り始めた。

 頃合いみて起きようとしたが、うまくいかずに、恥をかいてしまったという話。

原文

 今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせん。」と言ひけるを、この児、心よせに聞きけり。さりとて、し出ださんを待ちて寝ざらんも、わろかりなんと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめきあひたり。

 この児、さだめておどろかさんずらんと、待ちゐたるに、僧の、「もの申し候はん。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへんも、待ちけるかともぞ思ふとて、いま一声呼ばれていらへんと、念じて寝たるほどに、「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は、寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち笑ふこと限りなし。

※教科書によっては助動詞「む」が音便化された「ん」ではなく「む」で表記されている場合があります。

現代語訳

 今となっては昔のことだが、比叡山の延暦寺に児がいた。僧たちは宵の退屈な時に「さあ、ぼたもちを作ろう」と言ったのを、この児は期待して聞いた。そうだからといって、ぼたもちを作り上げるのを待って寝ないようなのも、よくないだろうと思って、片隅によって、寝ているふりして、出てくるのを待っていたが、もう作り上げたようすで、僧たちはみんなで騒ぎあっている。

この児は、きっと起こしてくれるだろうと、待っていたところ、僧が、「もしもし。お起きください。」と言うのを、うれしいとは思うけれども、ただ一度で返事をするのも、待っていたと思うといけないと思って、もう一度呼ばれて返事をしようと、我慢して寝ているうちに、「おい、お起こし申し上げるな。幼い人は、寝入りなさってしまった。」と言う声がしたので、ああ、困ったことだと思って、もう一度起こしてくれよと、思いながら寝ていて聞くと、むしゃむしゃと、ただひたすら食べる音がしたので、しかたがなくて、しばらくあとになって、「はい。」と返事をしてしまったので、僧たちは笑うとがこの上ない。

解説(ポイントのみ)

①今は昔、比叡の山に児ありけり。

「児」は子どもを意味する。今回は比叡山延暦寺に給仕する少年。

②僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせん。」と言ひけるを、この児、心よせに聞きけり。

「つれづれ」は退屈な様子を意味する。「ん(む)」は僧たちがしようとしたことなので「意志」になる。

③さりとて、し出ださんを待ちて寝ざらんも、わろかりなんと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、

し出ださ「ん(む)」と寝ざら「ん(む)」はそれぞれ「婉曲」の助動詞になるため無理に訳す必要はない。わろかり「なん」は「強意+推量」。「よし」には様々な意味があるが、今回は「素振り」という意味。

④すでにし出だしたるさまにて、ひしめきあひたり。

「ひしめきあひ」はハ四「ひしめく」の連用形+補助動詞「あふ」の連用形で「騒ぎあう」という意味になる。

⑤この児、さだめておどろかさんずらんと、待ちゐたるに、

「んず」と「らん」はそれぞれ「む」が音便化し「ん」になっている。「待ちゐ」は「ゐる」の複合語になるため上一段活用になる。

⑥僧の、「もの申し候はん。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、

僧「の」は主格になるため「が」と訳す。「せ」は前後から僧が児に敬語を使っていることがわかるため「尊敬」と判断する。

⑦ただ一度にいらへんも、待ちけるかともぞ思ふとて、いま一声呼ばれていらへんと、念じて寝たるほどに、

「いらふ」は「答える」という意味。「念ず」は「我慢する」という意味。

⑧「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は、寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、

「な~そ」で「禁止」を表す。「ば」は已然形接続なので順接確定条件になる。

⑨あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、

「かし」は「強く念を押す」ことを表す終助詞。「ば」は已然形接続なので順接確定条件になる。

⑩ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち笑ふこと限りなし。

「ば」は已然形接続なので順接確定条件になる。「ずちなく」は「どうしようもなくて」という意味。

練習問題(PDFダウンロード可能)

問題は

①本文中にある動詞・助動詞の確認問題(品詞分解)

②読解問題

の2パターンあります。

無料でダウンロードすることができます!(できない場合は連絡ください。)

学校で学習してない文法事項や知識があった場合は解かずに次の問題を解いてください。

宇治拾遺物語「児のそら寝」 品詞分解 問題

宇治拾遺物語「児のそら寝」 読解問題① 

宇治拾遺物語「児のそら寝」 読解問題②

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