枕草子の「中納言参り給ひて」の解説と問題を無料で閲覧・ダウンロードすることができます!
枕草子とは
「枕草子」は平安時代中期、995~1001年の間に清少納言によって書かれた随筆です。
清少納言は紫式部と並び称される平安時代の女流作家で、一条天皇の中宮となった藤原定子に仕えていました。
平仮名を中心とした和文で綴られ、兼好法師の「徒然草」、鴨長明の「方丈記」とともに「三大随筆」の1つとされています。
300の章段からできており、内容において
①類聚的章段…「ものずくし」と呼ばれる章段で「〜のもの」など特定のものを持ち出し、それの説明、主観的解説が書かれている。
②随想的章段…自然など風景についての感想や歌の書き留めなどが書かれている。
③日記的章段…中宮定子の女房として仕えていた間に起きた出来事や伝聞したことについて書かれている。
の3つに分けられます。
「中納言参り給ひて」の大まかな内容
中納言が扇を差し上げる際に、「隆家が手に入れた素晴らしい骨に紙を張ろうとしているが、特別な紙でなければならない」と語る。それを尋ねられると、「見たことがないほど素晴らしい骨だ」と強調する。すると、「扇の骨ではなく、くらげの骨ではないか」と返され、みなで笑い合う。この出来事は、恥ずかしい話として隠したいが、「すべて記録しなければならない」とあるので仕方がない。
原文
中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに、「隆家こそいみじき骨は得て侍れ。それを張らせて参らせむとするに、おぼろけの紙は、え張るまじければ、求め侍るなり。」と申し給ふ。「いかやうにかある。」と問ひ聞こえさせ給へば、「すべていみじう侍り。『さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』となむ人々申す。まことにかばかりのは見えざりつ。」と、言高くのたまへば、「さては、扇のにはあらで、海月のななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」とて、笑ひ給ふ。
かゆうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、「一つな落としそ。」と言えば、いかがはせむ。
現代語訳
中納言が参上なさって、扇を差し上げなさるときに、「隆家は素晴らしい骨を手に入れております。それに張らせて差し上げようと思うのですが、ふつうの紙を張ることはできないので、探し求めているのです。」と申し上げなさいます。「どのようなものなのか。」とお尋ね申し上げなさると、「すべてにおいて素晴らしいです。『今まで決して見たことのない骨の様子です。』と人々が申します。本当にこれほどのものは見たことがなかった。」と声高におっしゃるので、「それでは、扇のものではなくて、くらげのものであるよう。」と申し上げると、「これは隆家が言ったことにしてしまおう。」といってお笑いなさる。
このようなことは、きまりが悪いことの中に入れておくべきだが、「1つも書き漏らしてはいけない。」と言うので、どうしたものだろうか、いやどうしようもない。
解説(ポイントのみ)
①中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに、
「中納言」は「藤原隆家」のこと。「参り」は謙譲語で「作者から中宮」への敬意。「給ひ」は尊敬語で「作者から中納言」への敬意。「奉らせ」は謙譲語で「作者から中宮」への敬意。「給ふ」は尊敬語で「作者から中納言」への敬意。
②「隆家こそいみじき骨は得て侍れ。それを張らせて参らせむとするに、おぼろけの紙は、え張るまじければ、求め侍るなり。」と申し給ふ。
「こそ」は強意の係助詞で、結びの語は「侍れ」。「得」は連用形なので「え」と読む。「侍れ」は丁寧語で「中納言から中宮」への敬意。「せ」は「使役」の助動詞。「参らせ」は謙譲語で「中納言から中宮」への敬意。「む」は会話主の動作なので「意志」。
③おぼろけの紙は、え張るまじければ、求め侍るなり。」と申し給ふ。
「え~まじけれ(否定の語)」で「不可能」を表す。「侍る」は丁寧語で「中納言から中宮」への敬意。「申し」は謙譲語で「作者から中宮」への敬意。「給ふ」は尊敬語で「作者から中納言への敬意」。
④「いかやうにかある。」と問ひ聞こえさせ給へば、
「聞こえ」は謙譲語で「作者から中納言」への敬意。「させ給へ」は尊敬語(二重尊敬・最高尊敬)で「作者から中宮」への敬意。
⑤「すべていみじう侍り。『さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』となむ人々申す。まことにかばかりのは見えざりつ。」と、
「侍り」は丁寧語で「中納言から中宮」への敬意。「さらに~ぬ(否定の語)」で「決して~ない(全否定)」の意味になる。「なり」は体言に接続しているため「断定」。「なむ」は強意の係助詞で、結びの語は「申す」。
⑥言高くのたまへば、「さては、扇のにはあらで、海月のななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」とて、笑ひ給ふ。
「のたまへ」は尊敬語で「作者から中納言」への敬意。扇の「に」は体言の代用として使われている「の」に接続しているため、「断定」。「で」は打消しの接続助詞。「海月」は「くらげ」。「聞こゆれ」は謙譲語で「作者から中納言」への敬意。「む」は「意志」の助動詞。「給ふ」は尊敬語で「作者から中納言」への敬意。
⑦かゆうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、「一つな落としそ。」と言えば、いかがはせむ。
「こそ」は強意の係助詞で、結びの語は省略されている。「つべけれ」は「強意+当然」で「~てしまうべきだ」と訳す。「な~そ」で「禁止」を表す。「む」は「意志」の助動詞で、「いかが」があることによって連体形になっている。
練習問題(PDFダウンロード可能)
問題は
①本文中にある動詞・助動詞の確認問題(品詞分解)
②読解問題
の2パターンあります。
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枕草子「中納言参り給ひて」 読解問題②
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