【言語文化・古典探究】沙石集 〜 三文にして歯二つ 〜 解説と練習問題(PDFダウンロード可能)

古典読解

沙石集の「三文にして歯二つ」の解説と問題を無料で閲覧・ダウンロードすることができます!

沙石集とは

「沙石集」は鎌倉時代後期の1283年に無住(ムジュウ)によって書かれた仏教説話集です。

庶民を仏教の道に導くことを目的に書かれ、仏教の教訓・教理を説明するため、道徳的な話や、笑い話、動物説話など様々な話が全十巻134話 書かれています。

「沙石集」と同じ鎌倉時代の説話には「宇治拾遺物語」や「十訓抄」、「古今著聞集」などがあります。

大まかな内容

南都に住む、歯一本につき二文で抜く唐人のもとへ、損得第一である在家が行った。二文を一文に値切ったが、拒まれ、二本三文を提案した。虫歯でない歯まで抜かせて得したつもりになる。だが良い歯を失う大損で、小利に目がくらむ愚かさを戒める説話である。

原文

 南都に、歯取る唐人ありき。ある在家人の慳貪にして、利養を先とし、ことに触れて商ひ心のみありて、徳もありけるが、虫の食ひたる歯を取らせむとて、唐人がもとに行きぬ。歯一つ取るには、銭二文に定めたるを、「一文にて取りてたべ。」と言ふ。少分のことなれば、ただも取るべけれども、心ざまの憎さに、「ふつと一文にては取らじ。」と言ふ。やや久しく論ずるほどに、おほかた取らざりければ、「さらば、三文にて歯二つ取りたまへ。」とて、虫も食はぬに、よき歯を取り添へて二つ取らせて、三文取らせつ。 心には利分とこそ思ひけめども、疵なき歯を失ひぬる、大きなる損なり。これは、申すに及ばず、大きにおろかなること、をこがましきわざなり。

現代語訳

 南都に歯を取る唐人がいた。ある在家の者で、物惜しみ深く、損得勘定を優先し、何かにつけて商売心ばかりがあって、財産もあった者が、虫が食った歯を取らせようと、唐人のところに行った。歯を一本取るのに、銭二文と定めていたのを、「一文で取って下さい。」と言う。わずかなことであるので、そのままに取ってもよかったのだが、心持ちが憎らしかったので、「絶対に一文では取るまい。」と言う。少し長く議論するうちに、まったく取らなかったので、「それならば、三文で歯二本を取ってください。」と言って、虫も食べていない、よい歯を付け加えて、二本取らせて、三文を支払った。心では儲けたと思っただろうが、傷のない歯を失った、大きな損害である。これは、申し上げるまでもなく、たいへん愚かなことで、馬鹿らしいことである。

解説(ポイントのみ)

①南都に、歯取る唐人ありき。ある在家人の慳貪にして、利養を先とし、ことに触れて商ひ心のみありて、徳もありけるが、

「南都」は現在の奈良県のこと。「在家人」は「ざいけにん」と読み、出家せずに、普通の生活をしながら仏教に帰依する人を意味する。「利養」は「りよう」と読み、損得勘定を意味する。

②虫の食ひたる歯を取らせむとて、唐人がもとに行きぬ。

「たる」は連用形に接続しているため「存続」の助動詞。「せ」は未然形に接続しているため「使役」の助動詞。「む」は「意志」の助動詞。「ぬ」連用形に接続しているため「完了」の助動詞。

③歯一つ取るには、銭二文に定めたるを、「一文にて取りてたべ。」と言ふ。少分のことなれば、

「たる」は連用形に接続しているため「存続」の助動詞。「たべ」は尊敬語で、「在家人から唐人」への敬意。「なれ」は体言に接続しているため「断定」の助動詞。

④ただも取るべけれども、心ざまの憎さに、「ふつと一文にては取らじ。」と言ふ。

「べけれ」は「可能」の助動詞。「ふつと」は打消の語を伴って「決して~ない」と訳す。「じ」は「打消意志」の助動詞。

⑤やや久しく論ずるほどに、おほかた取らざりければ、「さらば、三文にて歯二つ取りたまへ。」とて、

「おほかた」は打消の語を伴って「まったく~ない」と訳す。「たまへ」は尊敬語で、「在家人から唐人」への敬意。

⑥虫も食はぬに、よき歯を取り添へて二つ取らせて、三文取らせつ。 

「ぬ」は未然形に接続しているため「打消」の助動詞。「せ」は未然形に接続しているため「使役」の助動詞。「つ」は連用形に接続しているため「完了」の助動詞。

⑦心には利分とこそ思ひけめども、疵なき歯を失ひぬる、大きなる損なり。

「けめ」は「過去推量」の助動詞。「なり」は体言に接続しているため「断定」の助動詞。

⑧これは、申すに及ばず、大きにおろかなること、をこがましきわざなり。

「申す」は丁寧語で、「筆者から読み手」への敬意。「なり」は体言に接続しているため「断定」の助動詞。

練習問題(PDFダウンロード可能)

問題は

①本文中にある動詞・助動詞の確認問題(品詞分解)

②読解問題

の2パターンあります。

無料でダウンロードすることができます!(できない場合は連絡ください。)

学校で学習してない文法事項や知識があった場合は解かずに次の問題を解いてください。

沙石集「三文にして歯二つ」 読解問題 品詞分解 問題

沙石集「三文にして歯二つ」 読解問題①

沙石集「三文にして歯二つ」 読解問題②

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