【言語文化・古典探究】竹取物語 〜 天人の迎へ 〜 解説と読解問題(PDFダウンロード可能)

古典読解

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竹取物語とは

「竹取物語」は、平安時代前期(800~900年)に書かれた物語で、現在は「かぐや姫の物語」として知られています。

「源氏物語」に「物語の出で来はじめの祖」と書かれていることから現存する日本最古の物語とされています。

作者は明らかになっておらず、文字を書けることから貴族だと考えられています。

ジャンルは「作り物語」に分類され、平安時代前期の「作り物語」として他に、「宇津保物語」、「落窪物語」などがあります。

内容は、おじいさん(竹取の翁)が、竹の中から三寸ばかりの女の子を見つけるかぐや姫の誕生、5人の貴公子による求婚、かぐや姫と帝の関係、月へ帰るなど、昔話と同じになります。

「天人の迎へ」の大まかな内容

ある夜、家の周りが突然昼間以上に明るくなり、満月の光を十倍にしたほどの光で輝いた。その中で、かぐや姫を迎えに来た月の使用者が、かぐや姫に「もう罪の償いが終わった」それで、月に帰る時が来た」と宣言します。翁はかぐや姫を返しまいとしますが、月の使用者は強く覚悟します。やがてかぐや姫は、戸がひとりで開くと、月の使用者によって連れ去られますれ、月になっていきました。翁と嫗は、かぐや姫を止められず、ただ涙を流すことしかできなかった。

原文

 かかるほどに、宵うち過ぎて、子の時ばかりに、家のあたり昼の明かさにも過ぎて光りたり。望月の明かさを、十合はせたるばかりにて、ある人の毛の穴さへ見ゆるほどなり。大空より、人、雲に乗りて降り来て、地より五尺ばかり上がりたるほどに、立ち連ねたり。内外なる人の心ども、物におそはるるやうにて、あひ戦はむ心もなかりけり。からうじて思ひ起こして、弓矢をとりたてむとすれども、手に力もなくなりて、萎えかかりたる中に、心さかしき者、念じて射むとすれども、ほかざまへ行きければ、荒れも戦はで、心地ただ痴れに痴れて、まもりあへり。
 立てる人どもは、装束のきよらなること、物にも似ず。飛ぶ車一つ具したり。羅蓋さしたり。その中に王とおぼしき人、家に、「造麻呂、まうで来。」と言ふに、猛く思ひつる造麻呂も、物に酔ひたる心地して、うつぶしに伏せり。いはく、「なむぢ、をさなき人。いささかなる功徳を、翁つくりけるによりて、なむぢが助けにとて、片時のほどとてくだししを、そこらの年ごろ、そこらの黄金賜ひて、身を変へたるがごとなりにたり。かぐや姫は、罪をつくり給へりければ、かくいやしき己がもとに、しばしおはしつるなり。罪の限り果てぬれば、かく迎ふるを、翁は泣き嘆く。あたはぬことなり。はや出だしたてまつれ。」と言ふ。翁、答へて申す、「かぐや姫を養ひたてまつること、二十余年になりぬ。『片時』とのたまふに、あやしくなりはべりぬ。また異所に、かぐや姫と申す人ぞおはすらむ。」と言ふ。「ここにおはするかぐや姫は、重き病をし給へば、え出でおはしますまじ。」と申せば、その返り事はなくて、屋の上に飛ぶ車を寄せて、「いざ、かぐや姫、きたなき所に、いかでか久しくおはせむ。」と言ふ。立て籠たる所の戸、すなはち、ただ開きに開きぬ。格子どもも、人はなくして開きぬ。嫗いだきてゐたるかぐや姫、外に出でぬ。えとどむまじければ、たださし仰ぎて泣きをり。

現代語訳

 こうしているうちに、宵も過ぎて、午前0時ごろに、家の周囲が昼の明るさ以上に光り輝いた。満月の明るさを十合わせたほどで、そこにいる人の毛の穴も見えるほどである。大空から、人が、雲に乗って降りて来て、地面から五尺ほど上がったところに、立ち並んでいる。家の中、外にいる人の心は、物の怪に襲われた様子で、戦おうという心もなかった。やっとのことで気持ちを奮い立たせて、弓矢を取って構えるけれど、手に力もなくなって、ぐったりとしてよりかかっている中に、気丈な者は、我慢して矢を射ようとするが、見当違いの方へ行ったので、激しく戦わず、心がひたすらぼんやりとして、顔を見合わせていた。

 立っている人たちは、衣装が華やかで美しいことは、他に似るものがない。空を飛ぶ車を一つ伴っている。薄い絹を張った長い傘をさしている。その中に王と思われる人が、家に向かって、「造麻呂、出て参れ。」と言うと、勇ましく思っていた造麻呂も、何かに酔った気持ちがして、うつぶせに伏している。言うには、「おまえ、愚かな者よ、少しばかりの善行を、翁が成したことによって、おまえの助けになればということで、ほんのしばらくの間と思って下界に下したのだが、長い年月、多くの黄金を賜って、生まれ変わったようになっている。かぐや姫は、罪をお作りになったので、このように身分の低いおまえの所に、しばらくの間いらっしゃったのだ。罪の償いの期間が終わったので、こうして迎えにきたので、翁は泣いて嘆く、出来ないことだ。早くお返し申しあげろ。」と言う。翁が答え申しあげるには、「かぐや姫を養い申しあげることは二十年余りになりました。ほんのしばらくの間とおっしゃるので、疑わしくなりました。また別の所に、かぐや姫と申す人がいらっしゃるのでしょう。」と言う。「ここにいらっしゃるかぐや姫は、重い病気にかかっておられるので、出ていらっしゃることはできないでしょう。」と申し上げると、その返事はなくて、屋根の上に飛ぶ車を寄せて、「さあ、かぐや姫。けがれた所に、どうして長くいらっしゃるのですか、いや、いらっしゃれるはずはない。と言う。締めきってあった所の戸が、すぐに、全て開いてしまった。格子なども、人がいないのに開いてしまった。嫗が抱いて座っているかぐや姫は、外に出てしまった。とどめることが出来そうにないので、ただ仰ぎ見てずっと泣いている。

解説(ポイントのみ)

①かかるほどに、宵うち過ぎて、子の時ばかりに、家のあたり昼の明かさにも過ぎて光りたり。

「子の時」は午後11時から午前1時を表す。(古文の世界では午後11時から2時間ごとに数える)

②望月の明かさを、十合はせたるばかりにて、ある人の毛の穴さへ見ゆるほどなり。

「望月」は満月を意味する。「見ゆ」は「見」と異なりヤ行下二段活用になる。

③大空より、人、雲に乗りて降り来て、地より五尺ばかり上がりたるほどに、立ち連ねたり。

「五尺」は約150㎝。「たり」は連用形接続のため「完了・存続」と判断。

④内外なる人の心ども、物におそはるるやうにて、あひ戦はむ心もなかりけり。からうじて思ひ起こして、弓矢をとりたてむとすれども、手に力もなくなりて、萎えかかりたる中に、

「内外」は「うちと」と読む。「物」は奇妙な力を意味する。「るる」は前に「物に」とあるため「受身」と判断する。

⑤心さかしき者、念じて射むとすれども、ほかざまへ行きければ、荒れも戦はで、心地ただ痴れに痴れて、まもりあへり。

「心さかしき者」は「心の強いもの」という意味。「念ず」は「我慢する」。「で」は「打消接続」になる。

⑥立てる人どもは、装束のきよらなること、物にも似ず。飛ぶ車一つ具したり。羅蓋さしたり。

「る」は已然形接続になるため「完了・存続」と判断できる。「装束」は「そうぞく」と読む。「具す」はここでは「伴う」の意味になる。

⑦その中に王とおぼしき人、家に、「造麻呂、まうで来。」と言ふに、猛く思ひつる造麻呂も、物に酔ひたる心地して、うつぶしに伏せり。

「まうで来」は謙譲語で王から王への敬意を表している。「り」は已然形接続になるため「完了・存続」と判断できる。

⑧いはく、「なむぢ、をさなき人。いささかなる功徳を、翁つくりけるによりて、なむぢが助けにとて、片時のほどとてくだししを、そこらの年ごろ、そこらの黄金賜ひて、身を変へたるがごとなりにたり。かぐや姫は、罪をつくり給へりければ、かくいやしき己がもとに、しばしおはしつるなり。罪の限り果てぬれば、かく迎ふるを、翁は泣き嘆く。あたはぬことなり。はや出だしたてまつれ。」と言ふ。

「黄金」は「こがね」と読む。「賜う」は「与ふ」の尊敬語で王から王への敬意を表している。「なりにたり」はラ行四段連用+完了+存続。「給へ」は尊敬の補助動詞で王からかぐや姫への敬意を表している。「ぬ」は未然形接続なので「打消」と判断。「奉れ」は謙譲語で王から王への敬意を表す。

⑨翁、答へて申す、「かぐや姫を養ひたてまつること、二十余年になりぬ。『片時』とのたまふに、あやしくなりはべりぬ。また異所に、かぐや姫と申す人ぞおはすらむ。」と言ふ。

「申す」とは「言う」の謙譲語で筆者から王への敬意を表している。「奉る」は謙譲の補助動詞で、翁からかぐや姫への敬意を表す。「なりぬ」と「はべりぬ」の「ぬ」は連用形に接続しているため「完了」と判断する。

⑩「ここにおはするかぐや姫は、重き病をし給へば、え出でおはしますまじ。」と申せば、

⑪その返り事はなくて、屋の上に飛ぶ車を寄せて、「いざ、かぐや姫、きたなき所に、いかでか久しくおはせむ。」と言ふ。立て籠たる所の戸、すなはち、ただ開きに開きぬ。

⑫格子どもも、人はなくして開きぬ。嫗いだきてゐたるかぐや姫、外に出でぬ。えとどむまじければ、たださし仰ぎて泣きをり。

練習問題(PDF)

問題は

①本文中にある動詞・助動詞の確認問題(品詞分解)

②読解問題

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